多肉植物は通常鉢に植えられた状態で販売されていることが多いですが、根っこがない状態、つまりカット苗の状態で販売されていることも少なくありません。

特にネット販売などではこのように茎をカットした状態で販売されていることが多く、実際に購入経験のある方も多いと思います。
今回は、このようなカット苗を購入した際の植え付け方とその後の管理についてご紹介したいと思います。
「カット苗を購入したけどどう扱えば良いのか分からない」そんな方の参考になれたら幸いです。
カット苗を購入したら植える前にここをチェック!
根をカットした状態で売られのは多肉植物ならではの販売方法になりますが、最初は正直ちょっと驚きますよね。
「どうしたら良いか分からない」と思う方も多いと思いますが、まずは土に植え付ける前に苗の状態を確認していきましょう。
- 葉が腐っていないか
- 茎が黒くなっていないか
- 虫がいないか
苗に異常がある場合は植え付ける前に処置する必要があります。
特に気を付けたいのが茎の異常です。
葉がブヨブヨになっているだけならその葉を取れば問題ないですが、もし茎に黒い部分があるようならその部分を取り除かないといけません。

黒い部分を放置してしまうとやがて全体に広がり苗が枯れてしまうので、黒い部分が完全になくなるまでカットしてしまいましょう。

カットした場合は切り口が完全に乾いてから土に植え付けよう!
苗をチェックしてみて、特に異常が見付からなければそのまま植え付けていきます。
枯れ葉がある場合は取り除いてきれいな状態にしておましょう。

枯葉を取って少し茎を出した状態の方が新しい根が生えやすくなります。
カット苗の植え方を5つのケースで解説!
カット苗には様々な形状のものがあり、植え付けにはそれぞれ工夫が必要な場合があります。
基本的な植え方に加えて、様々なケースの植え方についてもご紹介していきます。
基本的な植え方
カット苗の植え方はとてもシンプルで、土の上に苗を置くだけでやがて発根し根付きます。

まずは、苗の大きさに適した鉢を用意して土とオルトランを入れます。
オルトランは赤いパッケージのものもありますが、多肉植物には青いパッケージのものを使いましょう。

上層部に細かい土を入れておくと、これから生えてくる新しい根が土を掴みやすくなります。

全て細かい土にしてしまうと保水力が上がってしまうので上層部だけでOKです!
土を入れたらそこに苗を置きます。

はい、もう完成!
茎を土の中にしっかり差し込むと根付きやすくなります。
ちなみに、この苗の切り口はこんな感じです。

すでに発根しているので、根が傷付かないよう優しく植え付けました。
茎が長い・徒長している場合
茎が長い場合は、土に挿す分だけ残して茎をカットしても良いし、長いまま挿しても問題ありません。
ある程度茎の長さがあった方が安定して植え付けることができます。
また、苗が徒長している場合は下の葉を数枚取ってから植え付けます。

葉を取ることで茎が長くなりますが、この程度ならそのまま土に挿して大丈夫です。

根が出る部分が多くなるのでむしろ切らない方が良いかも

葉を取ることで徒長が分からなくなり、頭の可愛い部分だけが見えるので見た目が良くなりました。
茎が曲がっている場合
長い茎のカット苗を放置しておくと、いつの間にか茎が曲がってしまうことがあります。

苗は上を向こうとするため、長い間横に倒した状態で置いておくとこのように茎が曲がってしまいます。
このような場合は少し茎をカットするか、まっすぐ苗が上を向くようにそのまま植え付けます。

若干曲がってしまいましたが・・・少しくらい曲がった状態でも大丈夫です。
時間が経てば自然と苗が真っ直ぐ上を向くようになります。
茎の皮が硬くなっている場合
茎がカチカチに硬くなっている場合、なかなか発根しないことがあります。
そのような場合は、すこし茎の皮を剥いてから土に挿すと発根しやすくなります。

全部剥いても良いですが、茎が細かったりすると誤って折ってしまったり傷付けてしまうことがあるので無理に剥くのはやめておきましょう。
皮を剥いたあとは、少し乾燥させてから土に植え付けます。

皮を剥かなくても発根することは多いですが、なかなか発根しない場合はこの方法で発根しやすくしてから植え付けると良いです。
下の方に子株が付いている場合
カットした茎の下の方に子株が付いている場合があります。

このような場合は子株を外してから植え付けますが、あまりにも子株が小さい場合は茎に付けたまま植えてしまっても大丈夫です。
子株が成長と共に土の中から顔を出してきます。
土の中でダメになってしまうこともありますが、小さいまま茎から切り離しても枯れてしまうことが多いです。

こちらの苗はよく見ると子株の下に根が生えていたので、それぞれ根が付いた状態になるようにカットして土に植え付けてみました。

それぞれ子株には根が付いています。

子株がかなり小さいですが、すでに発根しているのでしっかり水やりをすれば無事に根付いてくれると思います。
植えた後の管理方法
カット苗を鉢に植え付けると一見他の苗と同じように見えますが、まだ根がない状態なので他の苗と管理方法を少し変えていかないといけません。
特に気を付けたいのが水やりと置き場所です。
発根したら水やりは少量頻回に
根が生えていない状態ではたくさんの水やりは必要ありません。
むしろ、水やりせずに根が生えてくるまで待っていても問題ありません。
ただし、適度な湿度は発根を促す作用があるため、すぐ乾く程度の少量の水を与えるのもおすすめです。

ペットボトルのキャップ1杯程度で大丈夫!
1日で乾く量を与えて、完全に乾いたらまた少量を与えていきます。
ずっと濡れているとカビが生えたり葉が腐ってしまうことがあるので、必ず土が乾燥している時間を作るようにしましょう。
また、すでに少しでも根が出ている場合は植え付けてすぐに水やりをスタートします。

このくらい生えてきたら、根に与えるだけの少量の水を頻回に与えていきます。

少量頻回がポイント!
根がまだ少ないため、一度にたくさんの水やりは必要ありません。
しかし、乾きすぎるとせっかく生えてきた根が枯れてしまうため、乾きすぎないよう少量頻回の水やりを繰り返していきましょう。
直射日光を避けた場所に
根がまだ生えていないカット苗は当然水を吸えないため、根が生えるまでは自分が持っている水分で生きています。
そのため、直射日光に当ててしまうとどんどん水分が失われ苗が小さくなってしまいます。
まずは日陰か木漏れ日が当たる程度の柔らかい日向に置き、根が生えて水が吸えるようになったら少しずつ直射日光に当てていくようにしましょう。
植え付け後にありがちなトラブルとその対処法
カット苗を植え付けた後、順調に活着してそのまま育っていけば良いですが、思わぬトラブルが起こることもあります。
そこで、よくありがちなトラブルとその対処法について解説していきます。
苗がグラグラする
土に植え付けたものの、根がないため安定性がなく苗がグラグラと動いてしまうことがあります。
特に、クラッスラ属のような茎の長い品種はグラつきやすいです。

このような場合は、下の葉を取って土に挿す部分を増やし深植えします。

添え木をするのも良いですがこの方が安定性があると思います。
また、ゴロゴロとした目の荒い土に植えるより、表面だけでも目の細かい土に植えた方が安定しやすく根張りも早くなります。
外葉が枯れてしまう
発根して水が吸えるようになるまでは、葉に溜めた自分の水分を使って生きるため、外葉が枯れていくのは自然なことです。

しかし、どんどん枯れていく場合は苗に異常がある可能性があるため、茎が黒くなっていないか、虫が付いていないかなど確認してみましょう。
茎が黒くなっている場合はその部分をカットし、乾燥させてからまた根が生えてくるまで待ちます。
虫がいる場合は直接取り除いたりベニカスプレーなどで対処しましょう。
また、葉がブヨブヨしてしまう場合は水やりが多すぎる可能性があります。

土がずっと濡れていると蒸れて葉が腐りやすくなるため、土がしっかり乾いてから次の水やりをしましょう。

土が乾いている時間を作ることが大事!
どうしても葉がブヨブヨしてしまう場合は一度鉢から苗を抜いて、風通しの良い日陰でしっかり乾燥させましょう。
まだ発根していない場合は鉢に戻さず、根が生えてきてから植え付けたほうが安心です。
根が出ない
季節にもよりますが、カット苗は通常2週間程度で発根してきます。
しかし、中にはいつまで経ってもなかなか根が出てこない苗もあります。
そんな時、私は次のような方法で発根を促しています。
- 少量の水を与える
- 硬くなった茎の皮を少し取る
- もう一度茎を切る
- ルートンを使う
少量の水を与えることで根が出てくることが多いですが、それでも出てこない場合は茎を更にカットしてみたり、茎が硬い場合は皮を少し剥くと発根しやすくなります。
また、発根促進剤のルートンを使うのもおすすめです。

ルートンは粉状で、切り口に塗ることで発根を促進します。
基本的に発根は待つしかありませんが、補助的にこれらの方法を試してみるのも良いと思います。
また、発根しにくい季節もあります。

冬は発根に時間がかかります!
冬は室内で管理するなど、発根に適した環境を作ってあげるのもポイントになります。
▼冬の発根方法についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています
生えてきた根が上に出てきてしまう
通常、根は水を求めて下に伸びていきますが、土の中に伸びず上に出てきてしまうことがあります。

このような場合は水やりの量が足りていない可能性があります。
水の量が少ないと土の表面しか濡れず、根は表面を這うように伸びていき下に伸びません。
もし根が上に出てきてしまうような場合は、根が水を追いかけるようなイメージで、根の長さよりも下まで濡れるよう水やりの量を増やしてみましょう。

感覚的なイメージで大丈夫♪
根の長さなんて全然分からない・・・という場合は、数回に一度、しっかり鉢底まで濡れるくらいの水やりをしてみて下さい。
表面に出てきてしまった根は、植え直したり上から少し土をかけるだけで大丈夫です。
まとめ
ということで今回は、カット苗を購入した際の植え付け方とその後の管理方法についてご紹介しました。
多肉植物は、お店で実際に手に取って購入するのも良いですが、欲しい苗がなかなか見つからない場合はネット販売で探すのがとても便利です。
そんな時、カット苗の状態で送られてくることがよくあります。
私自身、多肉植物を育て始めた頃「根っこがないなんて!どうすれば良いの!?」「植え付けたけど・・・この後どうするの!?」と不安に感じていました。
もし同じように戸惑っている方がいたらぜひ参考にしていただければと思います。
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