多肉植物を確実に増やす！「挿し木」「胴切り」のやり方を伝授

多肉植物を増やす方法に「挿し木」「胴切り」という方法があります。

簡単に言うとどちらも茎を切って1つの苗を2つに分ける方法ですが、サボテンやエケベリアなどは胴切りと呼ばれることが多いです。

挿し木の手順はとても簡単なので、初心者さんにおすすめしたい増やし方になります。

エケベリアの胴切りについてはテグスの扱いなど少しコツがいる部分もありますが、慣れれば難しいことはないですし、多肉植物特有の楽しい増やし方なのでぜひチャレンジしてほしいなと思います。

ということで今回は、初心者さんに向けて「挿し木」「胴切り」のやり方についてご紹介していきます。

どんな場合に挿し木や胴切りという方法を選ぶのか、またどのような手順で行えば良いのかをコツや注意点などを解説しながらご紹介していきます。

挿し木や胴切りは葉挿しよりも増える確率が高いので、「葉挿しが苦手」「葉挿しでどうしても失敗してしまう」という方にもおすすめできる方法となりますのでぜひ参考にしてみて下さい。

挿し木のやり方

挿し木とはどのような方法なのか、詳しい手順を解説していきます。

挿し木とはどんな方法？

挿し木とは、簡単に言うと茎を切って、切った上の部分を土に挿して増やす方法になります。

多肉植物に限らず、多くの植物で使われる方法ですね。

土に挿すことで根が生え、一つの苗として生長していきます。

また切った下の株の方は、子株に栄養分が回り大きく生長し始めたり、新たに新芽を出すようになります。

このように、苗を増やしたい時だけではなく、子株を大きくさせたい時や新芽を出させたい時、また茎が伸びすぎてしまって仕立て直したい場合にも挿し木は有効な方法となります。

用意するもの

増やしたい苗

切って増やしたい苗を用意します。

必ず病気がないかを確認し、健康で水分を充分蓄えているものを選びます。

増やしたい苗以外にも、下に子株がたくさん付いているものを選ぶと、頭の部分を切ることでその子株たちをグンと大きく成長させることができます。

はさみ

茎をカットするときに使います。

はさみを使う時は、切り口から菌が入ることがあるため必ず消毒したものを使うようにしましょう。

使うはさみは特に園芸用ではなくても大丈夫です。

土

切った苗を他の鉢に植える場合は必要となります。

基本的には多肉植物に適した土を使用すると良いと思います。

よく分からないという場合は、私は花ごころさんの「さぼてん多肉植物の土」をおすすめしています。

▼多肉植物に適した土についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています
≫多肉植物の土は何が良い？初心者さんにおすすめする市販の多肉植物専用の土

鉢

切った苗を植える鉢を用意します。

他の鉢に植えずに、元々植えてあった鉢に挿しても大丈夫です。

▼新しい鉢に植える場合はこちらの記事も参考にしてください
≫多肉植物に適した鉢とは？鉢の種類や選び方のポイントを徹底解説！

ネームラベル

切った苗を新しい鉢に挿した場合は必ずネームラベルを刺しておきましょう。

刺し忘れると何の苗だか分からなくなり「名無し多肉」になってしまいます。

挿し木の手順

挿し木の手順を解説していきます！

今回は、少し茎が伸びてしまっただるま秋麗を使って増やしてみたいと思います。

苗を用意する

増やしたい苗を用意します。

元気で葉に水分を充分蓄えた状態です。

長く伸びた2本をカットしたいと思います。

茎を切る

切りたい場所を決めて、消毒したはさみで切ります。

葉が密になっていてはさみが入れられない場合は、葉を数枚取ってはさみが入る隙間を作ります。

あまりにも上の方で切ると葉がバラバラと落ちてしまうことがあるので注意しましょう。

切る時は下に葉が数枚残るようにして切ると安心です。

茎が一本の場合、下の部分に根があるとはいえ、葉が1枚もない状態にしてしまうと枯れてしまうことがあります。

うまく水やりをしていけば茎だけになっても子株が出てきますが、念のため葉を残しておいた方が安心です。

また、株元や茎の途中に子株が付いている場合、その子株のすぐ上を切ると子株がメキメキと大きく生長し始めます。

頭の可愛い部分だけを切っても良いですし、茎が何本か生えている苗なら根元から切っても良いと思います。

今回は、下にいる子株を大きくさせ、残した茎からも子株を出したかったので点線のところで切ってみました。

切った方の苗は土に挿しやすいように下の葉を取り、その葉は葉挿しに使いました。

乾燥させる

風通しの良い日陰に置いて切り口を乾燥させます。

切り口の大きさにもよりますが１日程度で乾燥します。

葉を取った場合はすぐに土に挿して葉挿しにすればさらに増やすことができます。

▼葉挿しのやり方についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています
≫多肉植物を増やそう！初めてでもできる葉挿しの仕方を徹底解説

土に挿す

切り口が乾燥したら土に挿します。

今回は2本切ったので一緒に植えてみました。

苗がぐらついたりしないようにしっかり挿します。

茎がなく土に差し込む部分がない場合は土の上に置くだけで大丈夫です。

そのうち根が出て根付きます。

直射日光を避けた場所に置く

挿し木にしたほうは、根が出るまでは直射日光を避けて明るめの場所で管理します。

我が家では、柔らかい日差ししか入ってこないラティスに引っ掛けています。

切った下の部分は通常の管理で大丈夫です。

少量の水やりをする

切ったばかりでまだ根はありませんが、湿度を感じると根が出やすくなるので、土を湿らす程度の水やりをします。

挿した苗がしっかり根付いたら、徐々に水の量を増やしていきます。

まだ根の量が少ないので、土が乾ききった状態が続かないように少量の水を頻回にあげていくのがコツです。

徐々に日向に移す

根付いてきたら、徐々に明るい場所に移動させ直射日光に慣らしていきます。

元々直射日光の環境下で育てていた場合はそれほど慎重にならなくても大丈夫ですが、「何週間も日陰に置いていた」というような場合は、明るさや日光に当たる時間を調節しながら徐々に日向に移動するようにしましょう。

日向に慣れてきたら他の苗と同じ管理にしていきます。

胴切りのやり方

胴切りは挿し木と同様に茎を切って増やす方法なのですが、その方法には少し違いがあります。

コツや注意点などを交えてご紹介します。

胴切りとはどんな方法？

胴切りとは理論的には挿し木と同じ方法の増やし方になりますが、サボテンやエケベリアを切る時は胴切りと呼ばれています。

胴切りは葉挿しに比べて芽が出る確率が高く成長スピードも速いです。

確実に芽を出したい時や葉挿しでは芽が出にくいような苗を増やしたい時にとても有効な手段になります。

方法としては、はさみやテグスを使って苗を半分に切り、挿し木と同様に切った上の部分は土に挿し、下の部分からは新芽が出てくるようになります。

胴切りする際ははさみを入れづらいことが多く、一般的にはテグスやカッターを使うことが多いです。

用意するもの

増やしたい苗

お気に入りの苗や葉挿しが出にくい苗など、胴切りしたい苗を用意します。

１つの苗を半分に切るので、なるべく大きいものを選びます。

切った上の部分は根がない状態になるため、胴切りする数日前に水やりをしておくと安心です。

テグス・カッター

切るために使うテグスやカッターを用意します。

テグスは100均でも購入できます。

葉と葉の間に隙間があればカッターでも切ることができますが、やりやすさで言えば私はテグスを使うことをおすすめします。

土

切った上の部分を植える土を用意します。

多肉植物専用の土でも良いですが、生えてきた少ない根が絡みやすいように上部だけでも目の細かい土を使うことをおすすめします。

鉢

切った上の部分を植える鉢を用意します。

事前に、切る苗がどのくらいの大きさになるか確認してから用意しましょう。

基本的には、ロゼット(葉の大きさ)と同じくらいの大きさの鉢を用意します。

ネームラベル

切った上の部分を鉢に植えたら、忘れずにネームラベルを刺しておきましょう。

忘れると何の苗か分からなくなり「名無し多肉」になってしまいます。

胴切りの手順

胴切りの手順を詳しく解説していきます。

今回は斑入りが美しいマカベアナ錦をテグスで胴切りしていきます。

増やしたい苗を選ぶ

健康でなるべく大きめの苗を選びます。

あまりにも苗が小さいと、切った時に真ん中の生長点まで葉がバラバラになってしまうことがあります。

今回胴切りするマカベアナ錦はロゼットが8ｃｍほどあります。

ちなみに、このような斑入りの品種は葉挿しが難しく失敗することが多いため、基本的には胴切りで増やしていきます。

切る位置を決める

理想の大きさになるように切る位置を決めていきます。

あまり上の方になり過ぎないように、できるだけ下の方で位置で決めます。

大切なポイントとして、切る位置は下葉が数枚残る位置にします。

胴切りの場合、葉を残さずに切ると茎がほとんど残らない状態になってしまうため子株を吹かせることができなくなってしまいますが、葉を残せば葉の根元から子株を出すことができます。

茎をテグスで切る

切る位置が決まったら、葉と葉の間からテグスをグルリと一周茎に巻き付けます。

テグスを引っ張りながら、葉と葉の間から食い込ませるようにしっかり茎に巻き付けます。

巻き付けたら両手でテグスを交差させて持ち、グッと力を入れて思い切り引っ張ります。

多少葉に傷が付くのは仕方ありませんので気にしなくて大丈夫です。

葉が密になっていなかったので、今回はわりと綺麗に切る事ができました。

茎も綺麗な色なので健康な状態が確認できました。

もし茎に少しでも黒や茶色の部分があった場合は、はさみで変色した部分を全て取り除きます。

少しでも黒い部分が残ってしまうとどんどん腐っていくので、綺麗になるまで完全に取り除くようにしましょう。

下の部分に葉がたくさん残ったら、数枚取って葉挿しに使いましょう。
※マカベアナ錦のような斑入りは葉挿しに不向きですが一応取りました

乾燥させる

風通しの良い日陰で切り口を乾燥させます。

切った上部は逆さまにして切り口を乾かすか、網などの上に乗せて乾かすようにします。

切り口の大きさにもよりますが、1日程度あれば乾燥します。

もし切り口が大きい場合は、トップジンなどの殺菌作用のある癒合剤を塗っておくと安心です。

今回はそれほど大きい切り口ではないので塗らずに乾燥させます。

直射日光を避けた場所に置く

乾燥したら切った上の部分を新しい鉢に乗せ、下の部分と一緒に風通しの良い直射日光を避けた場所で管理します。

特に下の部分は今まで日光に当たっていなかった部分が剥き出しになるため葉焼けには充分注意しましょう。

少量の水やりをする

切った上の部分の発根を促すために少量の水やりを繰り返します。

一度にたくさんあげすぎると腐ってしまうことがあるため、土が湿る程度の少量を与えます。

乾いたらまた少量の水で土を湿らせ、根が生えるまでそれを繰り返していきます。

切った下の部分は根があるため通常の水やりをしていきます。

徐々に日向に移す

切った上の部分がしっかり根付いてきたら徐々に日の当たる場所に移していきます。

いきなり直射日光に当てず、明るさや日光に当たる時間を調節しながら、少しずつ直射日光に慣らしていきます。

切った下の部分も同様に日光に慣らしたら他の苗と同様の管理をしていきます。

まとめ

ということで今回は、挿し木と胴切りのやり方についてご紹介しました。

今回は私がいつもやっている方法での解説になりましたが、細かい部分はお住まいの地域や季節によっても変わってくると思います。

しかし基本的な部分は同じだと思いますので、ぜひ参考にしていただきながらご自身のやり方を見付けてもらえたらと思います。

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